しまなみ海道を走ろうと決めたとき、最初につまずくのが料金体系の分かりにくさです。西瀬戸自動車道の本線料金、原付・自転車が通る専用道の料金、そして2022年から続く原付・自転車の無料措置。この三つが混ざって語られるため、「結局いくらかかるのか」が見えにくくなっています。
この記事では、125cc以下の原付一種・原付二種、そして軽二輪・小型二輪(大型)まで、車種ごとの通行料金と無料区間を2026年時点の情報で整理します。ETC割引の適用条件、島ごとの分割乗降のコツ、実際に走ったときの費用シミュレーションまでまとめました。
しまなみ海道の料金体系は「本線」と「原付専用道」の二階建て
しまなみ海道の正式名称は西瀬戸自動車道です。広島県尾道市と愛媛県今治市を、大小の島々と七つの橋で結ぶ約60kmの自動車専用道路になります。
ここで押さえるべきなのは、同じ「しまなみ海道」でも、走る道が車種によって完全に分かれているという点です。
本線(自動車専用道)を走るのは126cc以上
排気量126cc以上の二輪車、つまり軽二輪(126〜250cc)と小型二輪(251cc以上)は、四輪車と同じ本線を走ります。ICから入って本線を走行し、目的のICで降りる一般的な高速道路の使い方です。料金はNEXCO区間と同様に距離制で計算されます。
原付・自転車は橋に併設された専用道を走る
125cc以下の原付一種・原付二種は本線に入れません。各橋には自転車歩行者道と原付道が併設されており、こちらを走ることになります。島に着いたら一度一般道へ降り、次の橋の入口まで下道を走ってまた専用道に入る、という繰り返しです。
この専用道は本線と料金体系がまったく別で、橋ごとの個別料金になっています。無人の料金箱に硬貨を入れる方式が基本でした。
補足・参考
原付道と自転車歩行者道は、橋によって同じ通路を共用する区間と分離されている区間があります。いずれにせよ自転車・歩行者との混在を前提に、速度を落として走る必要があります。
【2026年】原付・自転車の通行料金は無料が継続中
もっとも重要なポイントから書きます。125cc以下の原付と自転車の専用道通行料金は、2026年時点でも無料措置が継続しています。
無料化の経緯
自転車の無料化は2014年の社会実験から始まり、サイクリストの聖地としての知名度向上とともに恒久的な扱いへ移行しました。原付については2022年から自転車と同様の無料措置が適用され、以降延長が繰り返されています。
ただし、これはあくまで「措置」であり、恒久無料が法的に確定しているわけではありません。走行前には本州四国連絡高速道路(JB本四高速)の公式サイトで最新の適用状況を確認しておくのが確実です。
無料化前の橋別料金(参考)
無料措置が終了した場合に戻る料金水準を把握しておくと、予算感がつかめます。参考として、有料時代の原付料金はおおよそ以下の水準でした。
| 橋の名称 | 原付料金(参考) |
|---|---|
| 新尾道大橋(原付通行不可) | ー |
| 因島大橋 | 50円 |
| 生口橋 | 50円 |
| 多々羅大橋 | 100円 |
| 大三島橋 | 50円 |
| 伯方・大島大橋 | 50円 |
| 来島海峡大橋 | 200円 |
全区間を通しても合計500円程度でした。金額としては大きくありませんが、小銭を用意しておく手間があったため、無料化による利便性向上は実際に走るライダーにとって小さくない変化でした。
注意
尾道側の新尾道大橋には原付道・自転車道が併設されていません。尾道から向島へ渡る場合は、原付・自転車は尾道渡船などのフェリーを利用します。この渡船は有料で、無料措置の対象外です。
尾道〜向島間のフェリー料金
尾道と向島の間は距離にして数百メートルで、渡船が頻繁に往復しています。原付を積んで乗る場合の運賃は、船会社によって差はあるものの人車合わせて100円台から200円台程度が目安です。所要時間は5分前後で、時刻表を気にせず並べばすぐ乗れる感覚でした。
126cc以上のバイクは本線走行・通常の高速料金
軽二輪・小型二輪は本線を走ります。ここからは通常の有料道路として料金が発生します。
尾道〜今治の全線通し料金の目安
西瀬戸自動車道の二輪車料金は、全線(西瀬戸尾道IC〜今治IC)でおおむね2,000円前後です。ETCを利用すると休日割引などの適用対象になり、実質的な負担はさらに下がります。
| 区分 | 料金の目安(全線) |
|---|---|
| 二輪車(126cc以上)現金 | 約2,000円前後 |
| 二輪車 ETC平日 | 約1,800円前後 |
| 二輪車 ETC休日割引適用時 | 約1,500円前後 |
料金は改定される可能性があるため、正確な金額は出発前にJB本四高速の料金検索で確認してください。ここでは「全線通しでおおむね2,000円以内に収まる」という感覚を持っておけば十分です。
二輪車定率割引(ツーリングプラン系)の扱い
NEXCO各社が実施している二輪車向けの定額・定率割引は、本四高速の区間が対象に含まれるかどうかがプランによって異なります。しまなみ海道を組み込んだ長距離ツーリングを計画する場合、この対象範囲の確認が費用計算のカギになります。
広域の周遊プランには本四区間が含まれるケースがある一方、地域限定プランでは対象外になることもありました。申し込み前にプラン詳細の対象道路一覧を必ず確認してください。
ETC車載器がない場合の注意
ETC非搭載車は当然ながら割引の対象外で、現金料金がそのまま適用されます。しまなみ海道は本州側・四国側どちらから入っても長距離移動とセットになることが多いため、年に数回でも高速を使うなら車載器を積んでおく価値は十分にあるでしょう。
島ごとに降りる「分割走行」で料金はどう変わるか
しまなみ海道の面白さは、途中の島に降りて景色や食事を楽しめる点にあります。ただ本線を分割して使うと料金の考え方が変わります。
ターミナルチャージが積み上がる
有料道路の料金は「距離に応じた額+ターミナルチャージ(入口・出口の固定費)」で構成されます。途中のICで降りて再度乗り直すと、そのたびにターミナルチャージが加算されるため、通しで走るより合計額は高くなります。
例えば因島、生口島、大三島で降りて乗り直すと、通し料金に対して数百円単位の上乗せが発生します。頻繁に乗り降りするなら、合計で数百円から千円近く差がつくこともありました。
島を巡るなら下道を活用する
各島には海沿いを一周できる一般道が整備されており、こちらは当然無料です。景色のよさで言えば本線よりも島の外周路のほうが上でした。橋の下をくぐる区間、みかん畑の斜面、無人の漁港。大型バイクでも、あえて本線を降りて島の外周を走るほうが記憶に残るツーリングになります。
本線は移動効率のための道、島の一般道は楽しむための道。この使い分けを意識すると、料金も体験も最適化できます。
編集部の一言
しまなみ海道は「橋を渡る道」ではなく「島を巡る道」です。全線を本線で駆け抜けると1時間半、島を巡ると丸一日。後者を選んだほうが、走った甲斐は確実にあります。
車種別・実走コスト早見表
実際にどの程度の費用がかかるのか、往復を想定して整理します。宿泊費や食費は含まず、通行料と燃料費の概算のみを示しました。
| 車種 | 走る道 | 通行料(尾道〜今治往復) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 原付一種(50cc) | 原付専用道 | 0円+渡船代 | 無料措置適用中 |
| 原付二種(125cc) | 原付専用道 | 0円+渡船代 | 無料措置適用中 |
| 軽二輪(250cc) | 本線 | 約3,000〜4,000円 | ETC割引で変動 |
| 小型二輪(400cc超) | 本線 | 約3,000〜4,000円 | 二輪車料金は排気量で変わらない |
原付二種のコストパフォーマンスが突出している
表を見れば明らかなとおり、しまなみ海道に限れば原付二種の費用対効果は圧倒的です。通行料がかからず、燃費も良く、自転車道から見える海の景色をゆっくり味わえます。
一方で、原付は本州や四国からしまなみ海道までのアプローチで高速を使えません。近隣在住であれば原付二種が最適解ですが、遠方から向かうなら大型で高速を使って一気に走るほうが現実的でしょう。
大型バイクは「アプローチ込み」で考える
関西や九州から向かう場合、しまなみ海道本体の料金よりも、そこまでの高速代のほうがはるかに大きくなります。本四区間の2,000円は全体の一部にすぎません。ETCの休日割引やツーリングプランの適用範囲を含めた総額で計画を組むのが実践的です。
原付専用道を走るときの実践的な注意点
料金が無料であることと、走りやすいことはイコールではありません。原付で渡る場合に押さえておくべき点を整理します。
制限速度と自転車との混在
原付道の制限速度は30km/h以下に設定されている区間が中心です。加えて休日は自転車の通行量がかなり多く、追い越しには十分な注意が必要でした。狭い通路で無理な追い越しをすると危険なので、後ろについて速度を合わせる前提で走るのが基本です。
橋への取り付け道路は長い坂
橋の桁は海面からかなりの高さにあるため、原付道は螺旋状のスロープでゆっくり高度を稼ぐ構造になっています。この取り付け部分だけで数百メートルから1km以上あり、50ccだと登坂に苦戦する場面もありました。
横風の影響を受けやすい
海峡上の橋は遮るものがなく、風が強い日の横風は想像以上です。特に来島海峡大橋は全長4km超と長く、風の影響を受け続けます。軽量な原付ほど振られやすいため、風速が上がる日は無理をしない判断も必要でした。
注意
強風時には原付道・自転車道が通行止めになることがあります。走行当日の規制情報は事前に確認しておいてください。通行止めの場合、原付は代替ルートがないケースもあります。
日没後の走行は難易度が上がる
原付道には照明が限られる区間があり、夜間は路面状況が読みにくくなります。加えて島の一般道も街灯が少ない場所が多く、日没前に走り終える計画にしておくのが安全でしょう。
費用を抑えつつ満足度を上げる走り方
単に安く済ませるのではなく、コストと体験のバランスをどう取るかという視点で整理します。
片道は本線、片道は島巡り
大型バイクで日帰りする場合、往路は本線で一気に今治まで走り、復路は各島の外周路を繋いで戻るという組み方があります。通行料は片道分で済み、島の景色もしっかり味わえるバランスの取れた方法でした。
ETCの休日割引を軸に日程を組む
本四区間は休日割引の対象となるため、土日祝に走るだけで通行料が下がります。混雑とのトレードオフはありますが、早朝出発なら渋滞も避けられます。
島に一泊して二日に分ける
大三島や生口島には手ごろな宿があり、一泊すると走行に余裕が生まれます。宿泊費は増えますが、朝の海沿いを走る時間が手に入る価値は大きいでしょう。日没を気にせず島の細道に入っていけるのは、宿泊ならではの自由度です。
道の駅とレモン畑をルートに組み込む
多々羅しまなみ公園、瀬戸田のレモン関連施設、大島の亀老山展望公園。無料で立ち寄れて満足度の高いスポットが点在しています。亀老山展望公園から見下ろす来島海峡大橋は、しまなみ海道随一の眺望で、ここを外す理由はありません。
125ccのバイクで本線を走ることはできますか?
できません。西瀬戸自動車道の本線は自動車専用道路であり、125cc以下の車両は通行が禁止されています。125cc以下は各橋に併設された原付道を利用してください。誤って本線に進入しないよう、ICの案内表示に従って走行しましょう。
原付の無料措置はいつまで続きますか?
無料措置は期間を区切って延長される形で運用されています。2026年時点では継続中ですが、終了・変更の可能性はあります。走行前にJB本四高速の公式サイトで最新情報を確認してください。仮に有料に戻った場合も、全区間で500円程度の水準でした。
尾道から向島へ原付で渡る方法を教えてください。
新尾道大橋には原付道がないため、尾道渡船などのフェリーを利用します。運賃は人車合わせて100円台から200円台程度、所要時間は5分前後です。複数の航路があり運航頻度も高いため、時刻表を細かく気にする必要はほとんどありませんでした。
大型バイクで走る場合、ETCは必須ですか?
必須ではありませんが、休日割引などの適用を受けられないため現金だと割高になります。しまなみ海道単体では数百円の差でも、アプローチの高速料金を含めると差額は大きくなります。年に数回でも高速を使うなら、車載器の導入をおすすめします。
全線を走るのにどれくらいの時間が必要ですか?
大型バイクで本線を通しで走れば片道1時間半程度です。原付で原付道を使う場合は、坂道と低速走行のぶん片道3時間から4時間を見ておくとよいでしょう。島の外周路や展望台に立ち寄るなら、片道でも半日は確保しておく計画が現実的です。
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まとめ|料金構造を理解すれば、しまなみ海道は自由に組める
しまなみ海道の料金は、車種によって走る道が分かれることさえ理解すれば決して複雑ではありません。125cc以下は専用道で無料措置の対象、126cc以上は本線で通常の有料道路。この二本立てが基本構造です。
そのうえで、通しで走るか島に降りるか、往路と復路をどう使い分けるかを選べば、費用も体験もコントロールできます。料金を安く抑えることと、満足度の高いツーリングにすることは両立します。
この記事のまとめ
・125cc以下の原付は専用道を通行し、2026年時点で無料措置が継続中
・126cc以上は本線走行で、全線通し約2,000円前後(ETC割引で変動)
・尾道〜向島間は原付道がなく、渡船を利用する必要がある
・途中のICで乗り降りするとターミナルチャージが加算され割高になる
・島の外周路は無料かつ景色が良く、本線より走る価値が高い区間も多い
・原付道は制限速度30km/h、自転車との混在と横風に注意が必要
BunBun編集部としては、初めて走るなら片道は本線で全体像をつかみ、もう片道で島を丁寧に巡るルートをおすすめします。橋の上から見る海と、島の外周路から見上げる橋。両方の視点を持ってこそ、しまなみ海道を走ったと言えるでしょう。
