社外ミラーへ交換したバイクでも、保安基準の適合要件を満たし、実車への確実な取り付けや後方視認性、歩行者への保護性能が確保されていれば車検に通ります。製品に「保安基準適合」などの表示がある場合でも、実際の車体への取付位置や固定状態によって検査の合否が左右されます。
この記事では、ご自身の愛車の製作時期を確認したうえで、鏡面の寸法や車体への取付位置を実車で確認する手順について解説します。車検直前に慌てないよう、ポイントを整理して点検を進めていきましょう。
ミラーの車検基準を確認する
二輪車の後写鏡(バックミラー)には、道路運送車両の保安基準によって細かな仕様が定められています。まずは鏡面自体の寸法や、車両の製作時期による基準の違いを把握することが大切です。
後方が見え、歩行者に危険を及ぼさないこと
車室を持たないハンドルバー方式の二輪自動車に備える後写鏡は、運転者が後方の交通状況を明瞭に確認できる視界を備えている必要があります。さらに、歩行者などに接触した際に傷害を与えるおそれのない構造であることが求められます。
この基本的な性能要件は、国土交通省が定める道路運送車両の保安基準第44条に明記されています。鏡面自体の視認性はもちろん、突起物として歩行者に危険を及ぼさない配慮が前提となります。
鏡面の寸法を確認すること
現在の保安基準では、後写鏡の反射面(鏡面)の大きさに関して具体的な数値が規定されています。国土交通省の道路運送車両の保安基準の細目告示第224条によると、鏡面の面積は69平方センチメートル以上でなければなりません。
鏡面の形状が円形の場合、鏡面の直径が94ミリメートル以上かつ150ミリメートル以下であることが求められます。直径が94ミリメートル未満の小型ミラーや、150ミリメートルを超える過度に大きな円形ミラーは基準不適合となります。
また、該当する基準が適用される後写鏡の反射面は球状凸面で構成され、その曲率半径は1000ミリメートル以上1500ミリメートル以下と細目告示別添82に規定されています。社外品の鏡面を測定する際は、面積と直径が規定値を下回っていないか確認が必要です。
補足・参考
円形以外の形状(角型や楕円など)についても所定の寸法要件が存在しますが、まずは鏡面全体の面積が69平方センチメートル以上確保されているかどうかが基本的な目安となります。
製作時期による適用区分を確認すること
ミラーの寸法基準を確認するうえで注意したい点が、車両の「製作時期(製造年月日)」です。現行の厳しい鏡面面積要件は、すべての年代のバイクに一律で適用されるわけではありません。
2006年(平成18年)12月31日以前に製作された二輪自動車については、細目告示第224条の除外規定や適用関係告示第52条により、鏡面面積や寸法の制限によらないことができます。年式の古い車両では小型のカスタムミラーが装着されているケースも見られますが、ご自身のバイクがどの基準に属するかを見極める必要があります。
社外ミラー交換後は実車で点検する
ミラー単体の寸法が基準を満たしていても、バイク本体への取り付け方法や位置が不適切であれば車検には通りません。交換作業が終わった後は、メジャー等を用いて車体の実測点検を行いましょう。
左右の取付けを確認すること
二輪自動車の後写鏡は、原則として車体の左右両側に取り付けられていなければなりません。片側のみの装着では車検不適合となります。
自動車技術総合機構の審査事務規程では、最高速度が50キロメートル毎時以下の自動車に限り「左右両側又は右側」と規定されています。そのため、最高速度が50キロメートル毎時を超える一般的な二輪車では左右両側への装着が必要となります。
取付位置と固定状態を測ること
後写鏡を取り付ける位置には、車体中心からの距離に関する厳格な規定があります。審査事務規程によると、反射面の中心が、かじ取装置の中心を通り進行方向に平行な鉛直面から280ミリメートル以上外側となるよう配置しなければなりません。
ハンドルバーを交換したり、極端に短いミラーステーを取り付けたりすると、反射面の中心が車体内側へ寄りすぎて280ミリメートルの数値を下回る場合があります。ハンドルの中央から左右のミラー中心までの距離をメジャーで測定し、規定値を超えているか確かめましょう。
注意
ミラーの固定が不十分で走行中の振動により向きが変わる状態や、手で触れて簡単に動いてしまうものは検査で不合格となります。走行時の安全を確保するためにも確実に締め付けて固定してください。
後方視認性と衝撃緩衝構造を確認すること
ミラーは走行中の視界を確保する重要な保安部品です。普段の運転姿勢を取った際に、自身の腕や肩で視界が塞がれず、左右の後方路面が十分に確認できる角度に調整できているかを確かめます。
さらに、歩行者等と接触した際に衝突のショックを逃がす「衝撃緩衝構造」も重要です。細目告示第146条に基づき、接触時にステーが回転して衝撃を和らげるアダプターや可倒式構造が備わっている必要があります。固定が固着している場合や非対応の社外ステーを使用している場合は注意が必要です。
編集部の一言
バーエンドミラーやアンダーマウントミラーへ交換した場合、ハンドルを切った際にタンクやカウルと干渉しないかも入念に確認しておきましょう。車検時だけでなく、日常の取り回しにおける安全確保にも直結します。
判断に迷う場合の確認先
社外品ミラーの寸法や実車への取り付けについて自己判断が難しい場合は、事前の正確な情報確認とプロへの相談が役立ちます。
車検証で製作時期などの車両情報を確認すること
まず手元の自動車検査証(車検証)を確認し、車両の「初度登録年月」や型式指定の情報を把握しましょう。ただし、輸入車や登録遅れの車両では、登録時期と実際の製作時期がずれているケースもあります。
ご自身の車両が2006年12月31日以前の製作かどうかの判断がつかない場合は、車台番号をもとにメーカー窓口や正規ディーラーへ問い合わせて確認するのが確実です。
検査機関または整備事業者に事前照会すること
ミラーの面積やステーの衝撃緩衝機構に少しでも不安が残る場合は、ユーザー車検を受検する予定の運輸支局(自動車技術総合機構)の窓口、または車検を依頼する認証整備工場へ事前に問い合わせましょう。
問い合わせの際は、車検証情報に加えて、装着しているミラーの外形寸法や取付位置の測定値を伝えるとスムーズに回答を得られます。検査当日の現場判断で不合格になるリスクを未然に防ぐことができます。
よくある質問
社外ミラーでも車検に通りますか?
保安基準で定められた鏡面寸法(面積69平方センチメートル以上、円形なら直径94ミリメートル以上150ミリメートル以下など)を満たし、取付位置や衝撃緩衝構造、後方視認性が確保されていれば社外ミラーでも車検に通ります。製品のパッケージ表示だけでなく、実車に取り付けた状態での測定が必要です。
片側のミラーだけでも車検に通りますか?
二輪自動車の後写鏡は原則として左右両側への装着が必要です。最高速度50キロメートル毎時以下の車両に限り「左右両側又は右側」と規定されているため、最高速度が50キロメートル毎時を超える一般的なバイクでは必ず左右両方に取り付けてください。
古い年式のバイクでも同じ鏡面寸法が必要ですか?
2006年(平成18年)12月31日以前に製作された二輪自動車については、細目告示の除外規定により、現行の鏡面面積や外形寸法の制限によらないことができます。ただし、その場合でも後方の視界が明瞭に確認できることや確実な取り付けが求められます。
市販の保安基準適合ミラーを買えば安心ですか?
製品自体が保安基準適合のサイズで作られていても、実車に取り付けた際にかじ取装置の中心から280ミリメートル以上外側に位置していなければ車検不適合となります。また、衝撃緩衝構造が正しく機能するように取り付ける必要があります。
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まとめ|実車確認と製作時期の把握で車検に備える
社外ミラーへの交換は愛車のスタイルを引き締める定番カスタムですが、車検をクリアするためには法規に基づいた確認が欠かせません。製品の適合表示だけに頼るのではなく、実際の車両状態に即して確認作業を行いましょう。
この記事のまとめ
・鏡面寸法の確認:現行基準では面積69平方センチメートル以上、円形は直径94〜150ミリメートルが必要です
・製作時期の区分:2006年12月31日以前に製作された車両には鏡面寸法の除外規定があります
・左右両側の取付け:最高速度が50キロメートル毎時を超える一般的な二輪車は左右両方への装着が必要です
・取付位置の実測:車体中心からミラー中心までの距離が280ミリメートル以上外側にあるか計測します
・固定と緩衝構造:振動でずれない確実な固定と、接触時の衝撃緩衝機能を確認します
ご自身のバイクの製作時期やミラーの取付状態に疑問が残る場合は、車検証を用意したうえで、検査機関や日常の整備を依頼している認証工場へ事前に相談することをおすすめします。確実な整備を行って、安全で快適なツーリングライフを楽しみましょう。
