「スクーターでツーリング?」と思う方は少なくないはずです。しかし実際にPCX150を長距離ツーリングで使っているライダーは確実に増えています。ATでギアチェンジ不要、収納スペースあり、燃費もよい。一方で「高速道路では非力じゃないか」「ワインディングは楽しめるのか」という疑問も残ります。このレビューでは、PCX150のツーリング適性を実用性・走行性能・快適性の観点から正直に評価します。購入を迷っている40代以上のライダーに向けて、余計な美化なしで書きました。
PCX150のスペックをざっくり整理する
エンジン・車体の基本数値
PCX150(JK05型、2021年以降)の主要スペックを確認しておきます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 排気量 | 149cc |
| 最高出力 | 11kW(15PS)/8,500rpm |
| 最大トルク | 14N・m/6,500rpm |
| 車両重量 | 133kg |
| 燃料タンク容量 | 8.1L |
| WMTCモード燃費 | 49.9km/L |
| シート高 | 764mm |
| 荷室容量 | 30L(メットイン) |
クラス最軽量水準の133kgと、30Lのメットイン容量はツーリング用途で見ると相当なアドバンテージです。250ccのロードスポーツモデルには収納がほぼないことを考えると、スクーターの積載優位性は明確です。
補足・参考
PCX150はホンダのeSP+(エンハンスドスマートパワープラス)エンジンを搭載。アイドリングストップ機能が標準装備され、市街地の信号待ちが多い場面では燃費に貢献します。ツーリング中の道の駅・コンビニ立ち寄りも多い40代ライダーには、この小さな積み重ねが効いてきます。
高速道路は走れるのか
PCX150は排気量149ccです。125cc超のため高速道路・自動車専用道路の走行が可能です。これはPCX125との決定的な差であり、ツーリングルートの選択肢が大きく広がります。
実際の高速巡航は、80〜90km/hが快適域です。100km/hは出ますが、エンジンが明らかに高回転域に入ります。長距離の高速移動を主体にするなら正直きついと感じる場面があります。高速は「つなぎ」として使い、一般道メインで走るスタイルが性格に合っています。
注意
高速道路では横風の影響を受けやすいのがスクーター全般の特性です。PCX150も例外ではありません。特に橋梁・トンネル出口付近では速度を抑え、車体をしっかり保持する走り方が求められます。
ツーリングでの実用性を正直に評価する
積載力:メットイン+リアボックスの組み合わせ
メットインには30Lの空間があり、フルフェイスヘルメット1個が収まります。1泊程度の着替えと小物なら、ここだけでほぼ完結します。リアキャリアにボックスを追加すれば、2〜3泊分の荷物を無理なく積載できる水準になります。
ツアラー系の大型バイクのようなパニアケースの豪快さはありませんが、「必要なものだけ持って走る」ミニマルなソロツーリングスタイルとは相性がよいです。荷物の取り出しもシート下への開閉だけで済むので、道の駅や観光スポットでの出し入れが手軽です。
燃費:航続距離の計算
ツーリング時の実燃費は、一般道中心で38〜42km/L前後が実態に近い数値です。タンク容量8.1Lと組み合わせると、航続距離は約300〜340kmになります。
給油を気にせず走れる範囲として、200kmごとに給油のサイクルを作っておけば余裕があります。山間部など給油スポットが少ない地域でも、このペースなら現実的に対応できます。
シート・乗り心地:長距離での疲労度
シートの作りは同クラスのスクーターの中では及第点です。ただし、3〜4時間連続で走るとお尻への負担を感じ始めます。これはPCX150固有の問題というよりスクーター全般に共通する課題です。
対策として有効なのはゲルザブ系のシートクッションです。1〜2時間ごとに休憩を挟む習慣も、40代以降のライダーには身体の負担軽減として理にかなっています。
編集部の一言
シート高764mmは足つきのよさという点でも評価できます。身長168cm前後で両足のかかとがしっかり接地できる水準です。リターンライダーが久々にバイクに戻るとき、この安心感は精神的なハードルを下げてくれます。
走行性能:スポーツ性能は期待しないほうがいい
ワインディングでの挙動
PCX150は山道・峠での軽快感はそれなりに楽しめます。車体が軽く、前後14インチのタイヤがコーナリングでの安定感を作り出しています。ただし、タイヤが細く径も小さいため、深いバンク角でのグリップ感は大型スポーツモデルとは別物です。
「峠を攻める」という走り方を期待するなら、PCX150は明らかに適していません。一方で「景色を楽しみながら山道を走り抜ける」使い方では、軽い車体と扱いやすいパワー特性が心地よく機能します。
加速感と街中・地方道での扱いやすさ
0〜60km/hの加速は軽快です。信号スタートで後続の車に迷惑をかけるような遅さはありません。地方の一般道での流れに乗る走り方では、ストレスなく走り続けられます。
ATである点は、ツーリングにおいて集中力の配分という観点でメリットがあります。ギアチェンジに意識を使わない分、周囲の状況確認・路面状態の把握・ルート判断に集中できます。40代以降のライダーには、この「安全マージンの余裕」が実感しやすいポイントです。
ブレーキ性能:ABSの有無を確認する
JK05型PCX150は前後連動のコンビブレーキ(CBS)が標準装備されています。ABS設定はグレードにより異なるため、購入時に要確認です。雨天・濡れた路面でのツーリングを想定するなら、ABS付きモデルを選ぶことを強くおすすめします。
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月額600円。地域・走行スタイル・所有車種でマッチングし、初対面ツーリングを安全に組めます。PCX乗りのソロ派が「一緒に走る相手」を探すのにも使われています。
PCX150ツーリングに向いているスタイル・向いていないスタイル
こういう使い方なら◎
・日帰り〜1泊のソロツーリングを中心に走りたい
・高速は補助的に使い、一般道・地方の農道・海沿い国道をメインにしたい
・荷物をコンパクトにまとめてシンプルに走りたい
・久々にバイクに戻るリターンライダーとして、まず安心して乗れる車両を求めている
・街乗りとツーリングを兼用で使いたい
こういう使い方だと△
・高速道路を長時間・長距離で使うルートが多い
・峠での走りそのものを主目的にしている
・2人乗りでのタンデムツーリングを頻繁に行いたい(タンデム時のパワー不足は顕著です)
・ロングツーリングで1日400km以上を走るペースを想定している
補足・参考
PCX150は2021年モデルからPCX160へと事実上の後継モデルが登場しています。新規購入を検討する場合はPCX160(排気量156cc、最高出力15.8PS)も選択肢に入ります。中古でPCX150を狙うなら2021年以前のJF56・JK05型が流通しており、コストパフォーマンスは良好です。
維持費・コストパフォーマンスの現実
購入価格と中古相場
新車のPCX150(2021年型JK05)は当時の定価で約38〜40万円前後でした。現在の中古相場は年式・走行距離によって幅がありますが、走行距離1万km以内の良質な個体であれば25〜33万円程度を目安にできます。
ランニングコストの実態
| 項目 | 目安コスト |
|---|---|
| 燃料費(レギュラー170円/L、40km/L計算) | 約4.25円/km |
| タイヤ交換(前後セット) | 1〜1.5万円程度 |
| エンジンオイル交換(3,000kmごと) | 2,000〜3,000円程度 |
| 任意保険(40代・等級考慮) | 年間2〜4万円程度 |
| 車検 | なし(125cc超250cc以下は車検不要) |
車検不要というのは長期所有コストを大きく下げる要素です。250cc以下のメリットとして改めて評価しておくべきポイントです。大型バイクから乗り換えた場合、年間の維持費差は体感でわかる水準になります。
PCX150オーナーが実際にやっているカスタム・装備
ツーリング快適化に役立つ定番装備
PCX150でツーリングを快適にするために、実際のオーナーが導入している装備をまとめます。
・リアボックス(トップケース):GIVI・シャッドなど30〜45Lクラスが人気です。リアキャリアの取り付けが前提になります
・スマホホルダー:ハンドルバーへの取り付けでナビ利用が快適になります。振動対策付きモデルが安心です
・ゲルザブシートクッション:長距離時のお尻の負担軽減に対して期待できます
・グリップヒーター:秋〜春のツーリング継続に有効です。純正オプションが存在するため取り付け精度が高く、ポン付けに近い形で装着できます
・風防(スクリーン延長):純正スクリーンは小さめです。社外品で高さを増すことで高速走行時の疲労軽減が期待できます
編集部の一言
カスタムの投資対効果という観点では、グリップヒーターとリアボックスの2点が最優先です。この2つを揃えると、PCX150のツーリング適性は体感で一段上がります。スクリーンは費用対効果がやや落ちますが、高速巡航を頻繁に使うなら投資する価値があります。
よくある質問
PCX150は高速道路を走れますか?
はい、走れます。排気量149ccのため、125cc超として高速道路・自動車専用道路の走行が可能です。ただし快適な巡航域は80〜90km/hです。100km/h以上の高速走行を長時間継続するのはエンジンへの負担が大きく、疲労感も増します。高速はあくまで「移動手段の補助」として使い、一般道をメインに走るスタイルが本車の性格に合っています。
PCX150とPCX160どちらを選ぶべきですか?
新車購入であればPCX160が現行モデルです。排気量156ccで最高出力も向上しており、高速巡航の余裕が増しています。一方、中古でPCX150を選ぶ場合はコストパフォーマンスの点で有利です。基本的な使い勝手・積載性は両モデルで大きな差はありません。高速道路の使用頻度が高いならPCX160、コストを抑えたいならPCX150の中古という選び方が現実的です。
リターンライダーにPCX150はおすすめですか?
条件によっておすすめです。AT(スクーター)であることへの抵抗がない方、久々のバイクで安心して乗れる車両を探している方には向いています。シート高が低く足つきがよい点、車体が軽い点はリターンライダーの不安を軽減します。ただし、以前に大型バイクに乗っていた方がパワー感を期待すると物足りなさを感じる可能性があります。まず感覚を取り戻す段階の一台として割り切るか、ツーリングの目的を「走り」より「旅」に置けるかどうかが判断のポイントになります。
PCX150でのツーリングに向いている装備は何ですか?
優先度の高い順に、リアボックス(30〜45L)・グリップヒーター・スマホホルダー・ゲルザブシートクッションです。リアボックスは積載力を大幅に高め、グリップヒーターはツーリングシーズンを広げます。スクリーン延長は高速巡航の疲労軽減に期待できますが、一般道中心なら優先度は落ちます。まずリアボックスとグリップヒーターを揃えることをおすすめします。
PCX150の維持費はどのくらいかかりますか?
250cc以下のため車検が不要です。年間の主なランニングコストは任意保険(2〜4万円程度)、消耗品交換(タイヤ・オイル等で年間1〜2万円程度)、燃料費が中心になります。燃費40km/L前後の実燃費を考えると、燃料費は大型バイクと比較して大幅に抑えられます。車検不要と燃費のよさを合算すると、年間の維持コストは大型バイクの半分以下になるケースも多いです。
まとめ|PCX150ツーリングは「目的次第でアリ」が正直な答え
この記事のまとめ
・PCX150は高速道路の走行が可能だが、快適な巡航域は80〜90km/H。高速メインのルートは向いていない
・メットイン30L+リアボックスの組み合わせで、1〜2泊のソロツーリングは十分に完結できる
・燃費40km/L前後・タンク8.1Lで航続距離は約300〜340km。給油計画に余裕を持ちやすい
・走りを楽しむよりも「旅をする道具」として割り切ることが、PCX150との正しい付き合い方
・車検不要・低燃費・軽量の三つが維持費とリターン障壁の低さに直結している
・グリップヒーター+リアボックスの2点投資でツーリング適性は体感で上がる
PCX150は「すべてのライダーに合うバイク」ではありません。しかし「一般道を中心に旅を楽しむソロツーリング派」には、完成度の高い選択肢です。走りのスポーティさより、シンプルに出かけて帰ってくる体験の積み重ねを重視する40代以降のライダーに、率直に向いていると言えます。
大型バイクへの乗り換えを急がず、まず「気軽に走れる状態」を作りたいという方にとっては、PCX150という選択は十分に合理的です。BunBun編集部としては、乗る動機をシンプルに保つことがツーリングを長く続けるコツだと考えています。
