インカムを選ぼうとして、スペック表を眺めているうちに頭が痛くなった経験はないでしょうか。B+COMに絞っても「ONE」「SB6X」「SB6XR」と並んでいて、どれが自分の使い方に合うのかが分かりにくいのは確かです。この記事ではサインハウスのB+COMシリーズを実使用の視点から整理し、機種ごとの違いと選択基準を具体的に解説します。ソロツーリングメインの方からグループライドを楽しむ方まで、参考にしてください。
B+COMとは何か|サインハウスというメーカーの立ち位置
国内開発・国内品質管理のインカムブランド
B+COMは、大阪に本社を置くサインハウスが開発・販売しているバイク用インカムのブランドです。国内のモーターサイクル文化に照準を合わせて設計されており、日本語UIと日本語サポートが充実している点が他の海外ブランドとの大きな違いです。
インカム市場では、Sena(アメリカ)やCardo(イスラエル)が先行していますが、B+COMは国内ライダーのフィードバックを反映しながらアップデートを続けており、ファームウェアの更新サポートも継続的です。
シリーズ構成の全体像
2025年時点でラインナップの中核を担うのは以下の3機種です。
| 機種名 | 同時通話人数 | 通信規格 | 想定ユース |
|---|---|---|---|
| B+COM ONE | 2名 | Bluetooth 4.1 | ソロ・タンデム |
| B+COM SB6X | 6名 | Bluetooth 4.1 | グループツーリング |
| B+COM SB6XR | 6名 | Bluetooth 5.0 | グループ・長距離 |
価格帯はONEが実売1万5千円前後、SB6Xが3万円台、SB6XRが4万円台が目安です。この価格差がそのまま性能差かというと一概には言えないため、用途を先に決めることが重要です。
補足・参考
ラインナップは随時更新されます。購入前にサインハウス公式サイト(sign-house.com)で最新機種を確認することをおすすめします。
B+COM ONEの特徴|ソロライダーに刺さる理由
シンプルさが最大の武器
B+COM ONEは「インカムは音楽とナビ音声が聞ければいい」というライダーに最も合致する機種です。ボタン操作が少なく、ペアリングも直感的で、スマートフォンとの接続が迷いなくできます。グローブをつけたまま操作できる大きめのボタン配置も実用的です。
タンデムライダーとの通話も2名同時通話で問題なく対応できます。夫婦や親子でのツーリング、タンデム中のルート確認といった用途であれば、ONEで十分な場面がほとんどです。
音質と電池持ちの実力
スピーカーは40mmユニットで、走行風の多い高速道路でも音楽がはっきり聞こえます。カタログ値の連続通話時間は約12時間で、1泊2日のツーリングを通しても充電切れを気にせず使えるレベルです。
ただし、グループでの複数人同時通話は非対応のため、3名以上で走る頻度が高いなら最初からSB6Xを選ぶほうが後悔しません。
B+COM SB6Xの特徴|グループツーリングのスタンダード
6名同時通話の安定性
SB6Xは長らくB+COMの看板機種として位置づけられており、6名同時通話の安定性と音声品質が評価されています。クローズドメッシュ通信ではなくBluetooth 4.1ベースのチェーン接続方式をとっているため、1台ずつペアリングしていく手順は必要ですが、接続後の安定性は実走行で高く評価されています。
同一グループ内のライダー全員がB+COMである必要がある点は注意が必要です。異なるブランド同士で複数人通話を構成しようとすると機能制限が発生します。
マイク性能と走行中の聞き取りやすさ
SB6Xはノイズキャンセリングマイクを搭載しており、高速道路でも相手に声が届きやすい設計です。フルフェイスヘルメット、システムヘルメット、ジェットヘルメットいずれの取り付けにも対応するアタッチメントが付属しており、ヘルメット選びの自由度が高い点もメリットです。
編集部の一言
BunBun編集部では複数名でのツーリングマッチングを行っているユーザーの声を聞いていますが、グループライドに初めて参加するリターンライダーにとって、走行中の通話は緊張感を和らげる大きな助けになると言います。SB6Xはそういった用途に十分応える仕様です。
B+COM SB6XRの特徴|最上位機種の実力と選ぶべき人
Bluetooth 5.0が変えるもの
SB6XRはSB6XのBluetooth規格を4.1から5.0に引き上げた上位版です。通信距離の延長と接続の安定性向上が主な実感できる違いで、山間部のワインディングでライダー間の距離が開きやすい場面での途切れ感が軽減されています。
また、スマートフォンとの同時接続でストリーミング音楽と通話を切り替えるレスポンスが向上しており、操作のストレスが減っています。
価格差を正当化できる使い方
SB6Xからの上乗せ費用は実売で約1万円前後です。この差を正当化できるケースを整理すると以下のようになります。
・山岳エリアや峠での走行が多く、ライダー間の距離が開きやすい
・ナビと音楽を同時に使いながら通話を頻繁に切り替える
・長距離ツーリングで1日8時間以上インカムを使う
・数年単位で同じ機種を使い続けることを想定している
逆に、市街地や幹線道路が中心でライダー間の距離が詰まっている環境ならSB6Xで体感差はほとんどありません。
ヘルメット別の取り付け方法|実際の装着ポイント
フルフェイスへの取り付け
フルフェイスの場合、スピーカーはチークパッドの内側に収まるポケットを使用するのが基本です。多くの国内向けヘルメット(Shoei・Arai・OGK Kabuto等)はB+COMスピーカーのサイズに対応したポケットを備えています。チークパッドを外してスピーカーを収め、ケーブルをチンガード内部に沿わせると仕上がりがスッキリします。
マイクはピンマイクタイプとブームマイクタイプが同梱されており、チンガード内側にピンマイクを貼り付ける方法が一般的です。風切り音を拾いやすい場合はスポンジカバーを使って対処できます。
ジェットヘルメットへの取り付け
ジェットの場合はスピーカー位置をイヤーカップ内に収める形になりますが、ヘルメットによってはポケットがなくテープ留めになるケースもあります。マイクはブームマイクを顎のラインに沿わせる取り付けが推奨で、風切り音の拾い方が大きく変わるため位置を微調整することが重要です。
システムヘルメットへの取り付け
システムヘルメットはフルフェイスとほぼ同じ手順で取り付けられます。チンバーを開閉するため、ケーブルに余裕を持たせることが唯一の注意点です。チンバーを下げたときにケーブルが引っ張られる状態は断線リスクがあるため、必ず開閉動作を確認してから固定してください。
注意
取り付け後は必ず走行前にスピーカーが耳に密着しているか確認してください。位置がずれた状態では音量を上げすぎる原因になり、周囲の走行音が聞き取りにくくなります。安全な走行環境のため、外部音を遮断しすぎない音量設定を維持することが重要です。
B+COM同士でのペアリング手順と接続の安定化
基本のペアリング手順
B+COM同士をつなぐインターコム接続は、本体のインターコムボタン長押しでペアリングモードに入り、もう一方の機器でも同様に操作することで完了します。初回ペアリングは必ず停車状態で行い、登録が完了してから走り出すことが接続トラブルを防ぐ基本です。
一度ペアリングしたデバイスは次回以降自動で接続されます。ただし、電源オフ後の再接続には数秒かかるため、走り始める前に通話テストをしておくと安心です。
複数台グループでの接続順序
3名以上でのグループ接続は、1対1のペアリングを連鎖させるチェーン接続で構成します。接続順序が重要で、端に位置するライダーから順番にペアリングしていくと全員がつながりやすくなります。集合場所でのペアリング作業には5〜10分程度の余裕を見ておくことをおすすめします。
接続が不安定なときのチェックポイント
走行中に音声が途切れる場合の確認ポイントを整理します。
・ライダー間の距離が通信距離の上限を超えていないか
・本体のファームウェアが最新版になっているか
・スマートフォンとのBluetooth接続が通話接続と干渉していないか
・本体バッテリーが30%以下になっていないか(低電力状態では通信距離が縮小する場合があります)
ファームウェアの更新はサインハウス公式サイトからPCを経由して行えます。定期的な更新は接続安定性と音質の維持につながるため、半年に1度程度確認しておくことが望ましいです。
B+COMの音楽・ナビ連携|スマートフォンとの使い方
音楽再生の操作性
B+COMはスマートフォンのBluetooth A2DPプロファイルに対応しており、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングアプリと組み合わせて使えます。再生・停止・曲送りのコントロールが本体ボタンから行えるため、スマートフォンを操作する必要がなく安全面でも有利です。
インターコム通話中は音楽が自動でフェードアウトし、通話が終わると再生が再開される動作はスムーズで、長距離でも自然なリズムで使い続けられます。
ナビアプリとの組み合わせ
Yahoo!カーナビ、Googleマップ、ツーリングサポーターなどのナビアプリは、音声案内をBluetooth経由でB+COMから出力できます。音楽とナビ音声の同時出力は機種によって挙動が異なりますが、SB6XRではスムーズな切り替えが評価されています。
スマートフォンのマップアプリはバックグラウンドで動作させたまま、音楽アプリを前面に立ち上げておく使い方が現実的です。ナビ案内が入る瞬間だけ音楽が一時的に下がり、案内終了後に戻るという動作を自然に行ってくれます。
電話着信への対応
走行中の電話着信はB+COMのボタン操作で応答・終話が可能です。ただし、走行中のハンズフリー通話は注意が必要で、道路交通法の手持ち禁止に抵触しない形でも、会話に意識が向くことで周囲への注意が散漫になるリスクがあります。緊急でない電話は安全な場所に停車してからかけ直すことを習慣にしてください。
補足・参考
スマートフォンのBluetooth接続は「電話用」と「メディア用」の2種類を同時に行う必要があります。接続時に両方の項目にチェックが入っているか確認してください。片方だけの場合、音楽かナビのどちらかが機能しないことがあります。
よくある質問
B+COM ONEとSB6Xはどちらがコスパが高いですか?
用途によって異なります。ソロかタンデムのみで使うならONEが価格・機能ともにバランスが取れています。3名以上のグループライドが想定されるならSB6Xの選択が結果的にコスパが高くなります。後から買い直すコストを考えると、グループライドの可能性が少しでもあるならSB6Xを最初から選ぶほうが賢明です。
SenaやCardoとB+COM SB6Xを同時に接続することはできますか?
2台間の1対1通話は可能な場合がありますが、3名以上のグループ通話は原則できません。異なるブランド同士での複数人同時通話はメーカーが保証していないため、グループライドを前提とする場合は全員が同一ブランドで揃えることをおすすめします。
雨天走行でB+COMは使えますか?
SB6X・SB6XRはIPX5相当の防水性能を持っており、通常の雨天走行では問題なく使用できます。ただし、水没や高圧洗浄への対応は保証されていないため、洗車時には取り外すことを前提にしてください。ONEも同様の防水性能を持っていますが、使用後は水分を軽く拭き取っておくことで本体の長寿命につながります。
ファームウェアの更新は頻繁に必要ですか?
必須ではありませんが、定期的な確認をおすすめします。サインハウスは接続安定性や音質に関わるアップデートをリリースすることがあり、更新によって通話品質が向上するケースもあります。公式サイトのサポートページで最新バージョンを確認し、半年〜1年に1度程度チェックする習慣をつけると良いです。
B+COMはリターンライダーでも設定しやすいですか?
はい、国内向けに設計されているため日本語マニュアルが充実しており、サポートも日本語対応です。ペアリング操作はボタン長押しが基本で、スマートフォンのBluetooth設定に慣れている方であれば迷うことは少ないです。ただし初回の取り付け作業はヘルメットの種類によって手間が異なるため、購入前にヘルメットのスピーカーポケット有無を確認しておくと作業がスムーズです。
まとめ|B+COMシリーズの選び方と使い心地
この記事のまとめ
・B+COMはサインハウスが国内向けに開発したインカムブランドで、日本語サポートが充実しています
・ソロ・タンデムが中心ならONE、グループライドが多いならSB6X、安定性と長距離重視ならSB6XRが選択肢の基準になります
・ヘルメットの種類(フルフェイス・ジェット・システム)によって取り付け手順が異なるため、購入前に確認が必要です
・グループ複数人通話は同一ブランドで揃えることが安定接続の前提条件です
・ファームウェアの定期更新と走行前の通話テストで、接続トラブルの大半は防ぐことができます
インカムは一度使い始めると手放せないツールになります。選ぶ基準は「今の走り方」ではなく「これからの走り方」に合わせることが重要です。ソロが多い今でも、グループライドを視野に入れているなら最初から通話人数に余裕のある機種を選ぶほうが長く使えます。B+COMシリーズは国内環境への最適化が高い水準でなされており、リターンライダーが初めて選ぶインカムとしても信頼できる選択肢です。
