高速道路を使うツーリングで、「もう少し道路代が安ければ」と感じた経験はないでしょうか。実はETCを活用すれば、バイクでも複数の割引制度を組み合わせて通行料を大幅に抑えられます。ただし割引の種類や適用条件は複雑で、知らないまま走っていると損をしていることもあります。この記事では、バイクライダーが使えるETC割引の全種類と、ツーリングで実際に役立つ賢い使い方をまとめます。
バイク向けETC割引の基本を整理する
ETCとETC2.0の違いから確認する
バイク用ETCには、現行のETC車載器(1.0)とETC2.0の2種類があります。1.0は料金所の通過とシンプルな割引適用が主な機能です。一方ETC2.0は、道路側のITSスポットと双方向通信ができ、渋滞情報の受信や、一部の実証実験割引への対応など追加機能を持ちます。
通常のETC割引(休日割引・深夜割引など)はどちらのカードでも使えます。ETC2.0限定の割引や特典は現時点では限定的ですが、将来的な拡張が見込まれるため、新規購入するなら2.0対応機器を選ぶのが無難です。
補足・参考
バイク用ETC車載器はアンテナ分離型が主流です。車体への取り付けは必ずセットアップ(登録)が必要で、未セットアップの機器はゲートを通過できません。購入後は販売店でのセットアップを忘れずに済ませてください。
バイクは「二輪車」として軽自動車等と同じ料金区分
高速道路の料金区分では、バイクは「軽自動車等」と同じ料金区分に属します。普通車より約2割安い設定です。ETCを搭載することで、この軽自動車等の料金にさらに各種割引が上乗せされる仕組みになります。
現金払いでは割引は一切適用されません。ETCカードを使ってゲートを通過することが、すべての割引の前提条件です。
主要なETC割引の種類と適用条件
休日割引|週末ツーリングの基本割引
土曜・日曜・祝日の終日に適用される30%割引です。NEXCO東日本・中日本・西日本が管理する対象路線であれば自動的に適用されます。特別な手続きは不要で、ETCカードで通過するだけです。
週末ツーリング派にとって最も基本的かつ影響が大きい割引です。たとえば普通車で1,000円の区間がバイク(軽自動車等)で700円になり、さらに休日割引30%が適用されると490円まで下がります。
注意
休日割引はGW・お盆・年末年始などの大型連休期間は適用除外になります。NEXCO各社の公式サイトで事前に対象期間を確認してから計画を立ててください。
深夜割引|朝発・深夜帰りのライダーに効く
毎日0時〜4時の間に高速道路上にいれば30%割引が適用されます。この割引の特徴は、乗り降りのタイミングではなく、走行中に深夜時間帯をまたいでいれば良い点です。
たとえば23時50分に乗り、0時10分に降りた場合でも対象になります。早朝出発や深夜帰宅が多いロングツーリング派には積極的に使いたい割引です。休日割引との重複適用も可能なため、組み合わせで大きく節約できます。
平日朝夕割引|通勤・近距離移動向け
平日の6時〜9時と17時〜20時に、月に9回以上利用すると50%割引、5〜8回で30%割引になる制度です。ただし1回の走行が100km以内であることが条件です。
通勤や近距離ツーリングをコンスタントにこなすライダー向けの割引で、月の回数が条件になる点が他の割引と異なります。NEXCO東日本・中日本・西日本の路線が対象で、ETCマイレージサービスへの登録が必要です。
補足・参考
平日朝夕割引を利用するにはETCマイレージサービス(無料・要登録)への登録が前提です。割引は走行した月の翌月第2月曜日以降に還元されるポイント形式で、事後にポイントとして付与されます。
ETCマイレージサービス|ポイントで追加還元
ETCカードで支払った料金の一部がポイントとして還元され、貯まったポイントを無料通行分として利用できる制度です。登録は無料で、対象道路を走るだけでポイントが自動加算されます。
還元率は道路によって異なります。NEXCO3社の路線では支払額の約10%相当が還元される計算です。ロングツーリングをよく行うライダーなら、年間で数千円分の無料通行ポイントが貯まることもあります。
| ポイント数 | 還元額 |
|---|---|
| 1,000ポイント(NEXCO3社) | 500円分の無料走行 |
| 3,000ポイント(NEXCO3社) | 3,000円分の無料走行 |
| 5,000ポイント(NEXCO3社) | 5,000円分の無料走行 |
ポイントの有効期限は毎年4月末です。貯めっぱなしにせず、年度内に使い切る計画を立てておきましょう。
都市部の割引制度|阪神高速・首都高の独自設定
NEXCO以外の道路事業者も独自の割引を設けています。
・首都高速:深夜割引(0時〜4時に20%割引)、障害者割引など
・阪神高速:深夜割引(0時〜4時に20%割引)、日曜割引(20%割引)など
・名古屋高速:深夜割引(0時〜4時に20%割引)
首都高や阪神高速は距離制料金を採用しており、走行距離が短ければ料金も抑えやすい構造です。都市部を抜けるルートを計画するときは、最短ルートを意識するだけでも節約になります。
編集部の一言
首都高や阪神高速の割引はNEXCOと別管理です。ETCマイレージサービスへの登録でも一部ポイントが付きますが、割引の仕組みは路線ごとに異なるため、旅程に組み込む前に各道路の公式サイトで確認する習慣をつけると安心です。
割引を組み合わせて最大限に活用する方法
休日割引+深夜割引の重複適用を狙う
土曜・日曜・祝日の深夜0時〜4時に走行すれば、休日割引と深夜割引が重複して30%+30%の割引が受けられます(実際の計算では両方が同時に適用されるため、通常は深夜割引のみ適用となりますが、NEXCO各社の規定による)。実際の重複適用ルールはNEXCO各社が定期的に変更することがあるため、事前確認が重要です。
深夜出発や深夜移動が可能な日程を組むだけで、同じルートでも支出が大きく変わります。特にロングツーリングで移動距離が長い場合は数百〜千円単位の差になることもあります。
走行ルートの設計で料金を変える
高速道路は乗り継ぎ方によって料金が変わります。たとえば一度インターを出て再び乗り直すと料金が加算されます。逆にターミナルチャージ(ジャンクションをまたぐ際の加算)が発生しないルート設計をすると節約になります。
カーナビや高速道路の料金シミュレーターで複数のルートを比較してから走行計画を立てることをおすすめします。NEXCO各社の公式サイトには無料の料金計算ツールが用意されています。
ETCカードはクレジットカードのポイントも活用する
ETCカードはクレジットカードに紐づいています。ポイント還元率の高いクレジットカードを選べば、ETCマイレージに加えてクレジットカードのポイントも同時に貯まります。
ツーリング頻度が高いライダーなら、年間の高速代が数万円を超えることも珍しくありません。1〜2%の還元率の差でも、年間数百〜千円単位の違いになります。ETCカードを発行する際は、クレジットカード本体のポイント還元率も比較対象に加えてください。
バイク用ETC車載器の選び方と取り付けの注意点
アンテナ分離型と一体型の選択
バイク用ETC機器は大きく2種類です。
・アンテナ分離型:本体とアンテナを別々に配置できる。ハンドル周りやカウル内に柔軟に設置可能で、バイクへの対応幅が広い
・一体型:本体とアンテナが一体化。設置場所の制約があるが配線がシンプル
多くのバイクではアンテナ分離型が汎用性が高く、ネイキッドやツアラー、アドベンチャー系など車種を問わず設置しやすいです。
取り付けはセットアップ登録が必須
バイク用ETC機器は、購入後に必ずセットアップ(車両情報の登録)を行う必要があります。セットアップは販売店またはセットアップ店で行ってもらいます。セットアップなしでゲートを通過しようとすると、バーが開かないため非常に危険です。
また、バイクを乗り換えた場合は再セットアップが必要です。ETC車載器は車種に紐づいているため、そのまま別のバイクに移設しても使えません。
注意
ETCカードの差し込み忘れも注意が必要です。ETCゲートに進入してからカードが未挿入であることに気づいても、急停車は後続車との追突リスクがあります。出発前にカードが正しく挿入されているか必ず確認してください。多くの機器は正常に読み込むとインジケーターランプが点灯または音声でお知らせします。
ツーリングプランに合わせた割引活用シナリオ
日帰り週末ツーリングのパターン
土日に走る日帰りツーリングでは、休日割引が自動的に30%オフになるため、特別な工夫なしで節約できます。往復で高速を使う場合、行き帰りともに割引が適用されます。
さらにETCマイレージのポイントも積み上がるため、頻繁に週末走るライダーほど年間の還元額が大きくなります。
1〜2泊のロングツーリングパターン
長距離移動では移動を深夜帯にずらす検討が有効です。深夜0時〜4時に高速上にいれば30%オフになるため、深夜移動を組み込むだけで往路または復路の料金を大幅に削減できます。
また、フェリーと高速の組み合わせも有効な手段です。北海道や九州など遠方を目指す場合、フェリー区間の体力温存と、高速の使用区間を限定することで総コストを抑えられます。
複数台での走行時の注意
グループツーリングでは各自のETCカードで個別に通過します。割引は車両ごとに適用されるため、複数台で走っても割引率は変わりません。ただし、ETCゲートは1台ずつ通過する必要があります。前の車両が通過したらバーが一度閉まるため、詰めて進入しないよう注意が必要です。
編集部の一言
グループツーリングでは事前に「ETCゲートは1台ずつ確実に通過する」というルールを共有しておくと安全です。初めてグループで走るときほど、料金所前での動作確認を事前に話し合っておくことをおすすめします。
ETCカードの管理と更新で注意すること
有効期限の確認を怠らない
ETCカードはクレジットカードと同様に有効期限があります。期限切れのカードはゲートで読み取りエラーになりバーが開きません。ツーリングシーズン前に有効期限を確認する習慣をつけることをおすすめします。
カード更新は自動的にカード会社から送られてくる場合が多いですが、引っ越しなどで住所変更をしていないと届かないこともあります。連絡先住所が最新であるかも合わせて確認してください。
ETCマイレージのポイント失効に注意
ETCマイレージサービスのポイントは毎年4月末に失効します。3月末時点でのポイント残高が4月末まで有効で、それ以降は0リセットになります。3月末〜4月の走行分は翌年4月末まで使えますが、古いポイントから失効するため、貯め込みすぎないよう定期的に確認してください。
ポイント確認はETCマイレージのウェブサイトにログインするか、ETC2.0の場合は一部機器でポイント残高を確認できます。
よくある質問
バイクのETCカードは車と共用できますか?
ETCカード自体は車とバイクで共用できます。ただし、ETC車載器はセットアップ登録された車両専用のため、機器の使い回しはできません。カードを抜き差しして別の車両で使うことは可能ですが、車載器は必ずその車両でセットアップされたものを使ってください。
ETCゲートは何km/hまで通過できますか?
ETCゲートの通過可能速度は一般的に20km/h以下と定められています。スピードを出したままゲートに進入するとバーが開かない場合があり、非常に危険です。必ず減速してから通過してください。
休日割引が適用されないのはどんなときですか?
GW(4月29日〜5月5日前後)、お盆(8月13日〜16日前後)、年末年始(12月29日〜1月3日前後)は休日割引の対象外になることが多いです。ただし対象期間は毎年NEXCO各社が発表するため、旅行計画を立てる前に公式サイトで確認することをおすすめします。
ETCマイレージサービスの登録は有料ですか?
無料で登録できます。ETCマイレージサービスの公式サイトからオンライン登録が可能です。ETCカード番号と車載器管理番号が必要になります。登録後は対象道路を走るだけで自動的にポイントが貯まります。
バイクを乗り換えた場合、ETC車載器はどうすればいいですか?
ETC車載器は車両に紐づいてセットアップされているため、バイクを乗り換えた場合は再セットアップが必要です。販売店やセットアップ店で手続きを行えます。再セットアップ費用は店舗によって異なりますが、数百〜千円程度が一般的です。旧車両のセットアップ情報のままでは正常に使えないため、乗り換え後はすぐに対応してください。
まとめ|ETCの割引を理解して走るほどツーリングの収支が変わる
この記事のまとめ
・バイクは「軽自動車等」区分のため普通車より2割安く、ETCでさらに割引が重なる
・主な割引は休日割引(30%)・深夜割引(30%)・平日朝夕割引(30〜50%)の3種類
・ETCマイレージサービスは無料登録で走行ごとにポイントが貯まり無料通行に使える
・首都高・阪神高速はNEXCOとは別の割引体系で、独自の深夜割引や日曜割引がある
・車載器のセットアップ・カードの有効期限・ポイント失効の3点は定期的に確認が必要
・割引の除外期間(GW・お盆・年末年始)は事前に公式サイトで確認してから計画を立てる
ETCの割引を正しく理解しているかどうかで、年間の高速代は数千〜1万円以上の差になることがあります。休日割引は何もしなくても適用されますが、ETCマイレージへの登録や深夜時間帯を意識したルート設計は、知っているライダーだけが得をしている部分です。
BunBun編集部としては、割引の仕組みを把握したうえで走る計画を立てることが、長距離・高頻度でツーリングするライダーにとってもっとも実用的なコスト管理だと考えています。次のツーリング前に、ETCマイレージの登録状況とポイント残高を一度確認してみてください。
