瀬戸内海に浮かぶ6つの島を、7本の橋で結ぶ全長約60kmの海上ルート。それがしまなみ海道です。広島県尾道市から愛媛県今治市を結ぶこの道は、日本屈指のツーリングスポットとして全国のバイカーから愛されています。
しまなみ海道の最大の魅力は、排気量を問わず楽しめること。125cc以下の原付やスクーターは専用の原付道を、126cc以上のバイクは西瀬戸自動車道(しまなみ海道)を走れます。どちらのルートにも、それぞれ異なる絶景と楽しみ方が待っています。
この記事では、しまなみ海道をバイクで走るために必要な情報を、ルート・料金・各島の見どころ・グルメ・注意点まで網羅的にまとめました。初めて走る方もリピーターの方も、ぜひ計画の参考にしてください。
この記事でわかること
・しまなみ海道の全体ルートと所要時間の目安
・原付道(125cc以下)と高速道路(126cc以上)の違い・料金比較
・各島のおすすめ立ち寄りスポットとグルメ情報
・走行時に注意すべきポイントと橋上の横風対策
しまなみ海道ルート概要
しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの海上ルートです。正式名称は「西瀬戸自動車道」ですが、バイカーの間では「しまなみ」の愛称で親しまれています。
ルートは尾道側から順に、向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島の6つの島を経由します。各島を結ぶ7本の橋はそれぞれデザインが異なり、橋そのものが観光名所になっているのも魅力です。新尾道大橋、因島大橋、生口橋、多々羅大橋、大三島橋、伯方・大島大橋、来島海峡大橋と、渡るたびに異なる景色が広がります。
所要時間は、寄り道なしで走れば1時間半〜2時間程度。しかし、各島の見どころを巡りながら走ると半日〜1日は必要です。せっかくのしまなみ海道ですから、急がずゆっくりと島時間を楽しむのがおすすめです。
| ルート名 | しまなみ海道(西瀬戸自動車道) |
| 区間 | 広島県尾道市〜愛媛県今治市 |
| 総距離 | 約60km |
| 経由する島 | 向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島 |
| 橋の数 | 7本 |
| 所要時間(直行) | 約1.5〜2時間 |
| 所要時間(観光込み) | 約5〜8時間 |
| ベストシーズン | 4月〜6月、9月〜11月 |
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原付道 vs 高速道路|排気量別ルートの違い
しまなみ海道のユニークなポイントは、排気量によって走る道が異なることです。それぞれの特徴と料金を押さえておきましょう。
原付道(125cc以下)
原付道の特徴
125cc以下のバイク・原付は、各橋に併設された専用の原付道(自転車歩行者道)を通行します。自動車専用道路とは別のルートで、橋へのアプローチは一般道を走ります。
・通行料金:全橋合計で片道500円(50円〜200円/橋)
・速度制限:30km/h
・通行時間:日の出〜日没(夜間通行不可の橋あり)
・料金所:各橋の入口に料金箱(無人・小銭必須)
原付道は自転車や歩行者と共用のため、道幅が狭く追い越しが難しい場所もあります。しかし、橋の上からの眺めは自動車専用道路よりも低い位置にあるため、海面をより近くに感じられるのが魅力です。料金箱は無人なので、100円玉と50円玉を多めに用意しておきましょう。
西瀬戸自動車道(126cc以上)
高速道路の特徴
126cc以上のバイクは、西瀬戸自動車道(自動車専用道路)を通行します。普通車の料金体系で、ETCが利用可能です。
・通行料金:片道約2,500〜3,000円(ETC休日割引で約1,750円前後)
・制限速度:70〜100km/h(区間により異なる)
・通行時間:24時間
・各島にICあり(途中下車して島内観光が可能)
高速道路は各島にインターチェンジが設置されているため、島ごとに降りて観光し、再び高速に乗るという使い方ができます。ただし、その都度料金が発生するため、複数島で降りる場合は料金がかさむ点に注意が必要です。島内観光を重視するなら、高速を使わず一般道で島を巡るルートも検討してみてください。
| 項目 | 原付道(125cc以下) | 高速道路(126cc以上) |
|---|---|---|
| 通行料金(片道) | 約500円 | 約2,500〜3,000円 |
| ETC割引 | なし(料金箱) | あり(休日割引等) |
| 制限速度 | 30km/h | 70〜100km/h |
| 所要時間(直行) | 約2.5〜3時間 | 約1〜1.5時間 |
| 夜間通行 | 一部不可 | 24時間可 |
| 島内観光 | 一般道で自由に巡れる | IC降車が必要 |
各島のおすすめスポット
しまなみ海道の6つの島には、それぞれ個性的な見どころがあります。全島制覇するなら1日、2〜3島に絞るなら半日が目安です。
因島(いんのしま)
因島のおすすめポイント
村上水軍の歴史が色濃く残る島です。因島水軍城は全国でも珍しい城型の水軍資料館で、バイカーなら戦国時代の海の武者に思いを馳せたくなるスポットです。因島大橋を渡った直後のアクセスの良さも魅力。
・因島水軍城(入館料330円・バイク駐車無料)
・白滝山(標高227m・展望台から360度パノラマ)
・はっさく屋(因島名物はっさく大福)
| 島名 | 因島 |
| 面積 | 約35km² |
| 主な見どころ | 因島水軍城、白滝山、はっさく屋 |
| 滞在目安 | 1〜2時間 |
| 駐車場 | 各スポットに無料駐車場あり |
生口島(いくちじま)
生口島のおすすめポイント
国産レモン発祥の地として知られる島です。島内のいたるところにアート作品が点在する「島ごと美術館」も見どころ。瀬戸田の町並みは昔ながらの港町の風情が残り、バイクを停めて散策するのにぴったりです。
・耕三寺・耕三寺博物館(入館料1,400円・「未来心の丘」は必見)
・瀬戸田サンセットビーチ(夕日の名所)
・ドルチェ本店(ジェラートが絶品)
| 島名 | 生口島 |
| 面積 | 約31km² |
| 主な見どころ | 耕三寺・未来心の丘、瀬戸田サンセットビーチ、島ごと美術館 |
| 滞在目安 | 1.5〜2.5時間 |
| 名産品 | レモン、柑橘類 |
大三島(おおみしま)
大三島のおすすめポイント
しまなみ海道最大の島であり、大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)が鎮座するパワースポットです。全国の山祇神社・三島神社の総本社で、国宝・重要文化財の甲冑や刀剣のコレクションは全国随一。バイカーの安全祈願にもぜひ立ち寄りたい場所です。
・大山祇神社(国宝8件・重要文化財76件を収蔵)
・多々羅大橋展望台(完成時世界最長だった斜張橋を一望)
・大三島ミュージアム(伊東豊雄建築)
| 島名 | 大三島 |
| 面積 | 約65km² |
| 主な見どころ | 大山祇神社、多々羅大橋展望台 |
| 滞在目安 | 1.5〜2時間 |
| 特記事項 | しまなみ海道最大の島・広島県と愛媛県の県境 |
伯方島(はかたじま)
伯方島のおすすめポイント
「伯方の塩」で全国的に有名な島です。コンパクトな島ながら、開山公園からの眺望は息をのむ美しさ。桜の名所としても知られ、春のツーリングでは満開の桜と多島美の共演が楽しめます。島内一周は約20kmと手頃な距離で、短時間でも充実した島巡りができます。
・開山公園(展望台から360度パノラマ・桜の名所)
・伯方塩業 大三島工場(工場見学・塩ソフトクリーム)
・船折瀬戸(潮流が渦巻く迫力スポット)
| 島名 | 伯方島 |
| 面積 | 約21km² |
| 主な見どころ | 開山公園、伯方塩業工場見学、船折瀬戸 |
| 滞在目安 | 1〜1.5時間 |
| 名産品 | 伯方の塩、塩スイーツ |
大島(おおしま)
大島のおすすめポイント
今治側の最後の島で、来島海峡大橋を望むビューポイントが点在します。亀老山展望公園は標高307.8mの山頂にあり、しまなみ海道随一の絶景スポットとして有名です。展望台までの道はワインディングロードになっており、バイクで走る楽しさも味わえます。
・亀老山展望公園(来島海峡大橋と瀬戸内海の大パノラマ)
・村上海賊ミュージアム(入館料310円)
・よしうみいきいき館(海鮮バーベキュー)
| 島名 | 大島 |
| 面積 | 約42km² |
| 主な見どころ | 亀老山展望公園、村上海賊ミュージアム |
| 滞在目安 | 1.5〜2時間 |
| 特記事項 | 来島海峡大橋の絶景ビューポイント |
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しまなみ海道のグルメ
ツーリングの楽しみといえばグルメです。しまなみ海道沿いには、瀬戸内の海の幸と柑橘を活かした名物が数多くあります。
海鮮は外せません。大島のよしうみいきいき館では、来島海峡の急流で育った鯛やタコの海鮮バーベキューが楽しめます。自分で焼くスタイルで、鮮度は抜群です。生口島の瀬戸田港周辺にも新鮮な海鮮丼を提供する食堂が点在しています。
柑橘スイーツもしまなみの名物です。生口島はレモンの一大産地で、レモンケーキやレモネード、レモンジェラートなど柑橘を使ったスイーツが充実しています。ドルチェ本店のジェラートは、季節ごとに変わるフレーバーが人気です。
はっさく大福は因島の名物で、白餡とはっさくの果肉を柔らかい餅で包んだ和菓子です。はっさく屋は行列ができることもあるので、早めの時間帯に立ち寄るのがおすすめです。伯方島では塩ソフトクリームがバイカーの定番おやつになっています。
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しまなみ海道ツーリングの注意点
走行時の注意ポイント
・橋上の横風に注意:特に多々羅大橋と来島海峡大橋は海上を長距離走るため、強風時はハンドルを取られることがあります。風速10m/s以上の日は特に慎重に走行してください
・原付道の狭さと自転車との共存:原付道は幅が狭く、サイクリストや歩行者と共用です。無理な追い越しは厳禁。減速して安全に通過しましょう
・ガソリンスタンドの少なさ:島内のガソリンスタンドは数が限られ、日曜・祝日は休業の店もあります。出発前に満タンにし、因島か生口島で給油しておくと安心です
・原付道の料金箱は小銭のみ:紙幣やキャッシュレスは使えません。100円玉と50円玉を事前に用意してください
・繁忙期の渋滞:GWや連休はサイクリストが非常に多く、原付道は混雑します。早朝出発がおすすめです
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よくある質問
Q. しまなみ海道は原付(50cc)でも走れますか?
はい、走れます。125cc以下のバイク・原付は各橋に併設された原付道を通行できます。通行料金は全橋合計で片道約500円です。ただし速度制限30km/hで、自転車・歩行者と共用のため余裕を持った走行が必要です。
Q. しまなみ海道ツーリングのベストシーズンはいつですか?
春(4〜6月)と秋(9〜11月)がベストシーズンです。気候が穏やかで風も比較的弱く、瀬戸内海の多島美が最も美しく映える季節です。特に4月は桜、10月は柑橘の収穫シーズンと重なり、見どころとグルメの両方が充実します。
Q. 大型バイクでも各島に降りて観光できますか?
はい、可能です。西瀬戸自動車道には各島にインターチェンジがあり、途中で降りて島内観光ができます。ただし、降りるたびに料金が発生するため、複数島を巡る場合は一般道を使うルートも検討してみてください。
Q. 尾道と今治、どちらからスタートするのがおすすめですか?
どちらからでも楽しめますが、尾道スタートが定番です。尾道は渡船で向島に渡るところから始まり、旅情感があります。一方、今治スタートは来島海峡大橋のスケール感を最初に体感できる利点があります。風向きを考慮して決めるのも一つの方法です。
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まとめ
この記事のまとめ
・しまなみ海道は全長約60km、原付から大型バイクまで排気量を問わず楽しめる
・125cc以下は原付道(片道約500円)、126cc以上は高速道路(片道約2,500〜3,000円)を通行
・6つの島にはそれぞれ個性的な見どころとグルメが点在し、1日かけてじっくり巡るのがおすすめ
・橋上の横風、ガソリンスタンドの少なさ、原付道の小銭準備は事前に対策を
・ベストシーズンは春と秋。仲間と走れば瀬戸内の島旅がもっと楽しくなる
しまなみ海道は、何度走っても新しい発見がある奥深いルートです。島ごとの景色、グルメ、歴史に触れながら、瀬戸内海の穏やかな空気の中をバイクで走る――それは日本でしか味わえない贅沢なツーリング体験です。次の休日、ぜひしまなみの島々を巡ってみてください。
